ソフトバンク・グループの通信事業新戦略

http://www.icr.co.jp/newsletter/eye/2004/e2004009.html

累積損失解消までの遠い道のり。

孫社長は「遅かれ早かれ、すべてがブロードバンドに収斂する。」(前掲ビジネスウイーク誌)と予言しており、そのために競争相手に先制する必要があることは理解できるとしても、問題は何時になったらソフトバンクがブロードバンドで持続して利益を挙げられるようになるかである。「世界で一番早くて安い」ブロードバンドは、その裏で巨額の赤字を垂れ流している。同社のブロードバンド・インフラ事業は、02年度は売上高398億円に対し損失960億円、03年度は売上高1,288億円に対し損失873億円、04年度第1四半期は売上高461億円に対し損失183億円となっている。現在までの損失額の累計はすでに2,000億円を超えている(注)。

(注)ニューズ・ウオッチ(日経コミュニケーションズ / 2004.年9月1日)

 孫社長はこれに対し、ソフトバンクBBが現加入者へのサービスで満足していれば、年間1,000億円のプラスのキャッシュフローが生れると主張する。しかし、顧客基盤を広げれば、最終的な収益力は飛躍的に高まる。ソフトバンクBBは2005年秋までに加入者数600万達成を目指しており、今は将来のために投資する時だという。いったん同社のブロードバンド・サービスを行き渡らせれば、IP電話Wi-Fiサービス、スポーツ中継や音楽のダウンロードといった付加価値サービスで収益をあげることが出来るからだ。(前掲ビジネスウイーク)