この人はめちゃくちゃな事をいうけども格好いいな

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ネクシィーズの近藤 太香巳社長のインタビューから。
Yahoo!BB立上げ時の孫正義氏のエピソード。

【近藤】 ある時、孫さんから電話をもらったのです。孫さんが僕に会いたと言ってくれたのですが、私はそのことで心躍りましたね。世界の孫正義が自分に会いたいと言ってくれていると。僕は心躍りながら彼に会いにいきました。その時に聞いたのがヤフーBBプロジェクトだったのです。
それを聞いた僕は「この人一体何を言っているんだ」と思いました。NTTと戦うというけれども、NTTは日本の国力といってもいい程に大きい。それは今までどの会社が戦っても勝てなかった存在。例えば携帯電話にしたって、マイラインにしたって、やっぱりNTTに勝てる企業はなかったし、そこに新規参入して戦うなんてあり得ないと思ったのです。

孫さんは僕に言いました。「近藤君、何台ぐらい販売できる?」と。当時僕はデジタルツールの販売では日本No.1でしたから自信を持って「月に一万台ぐらいはでますよ」と答えました。一万台って大きいですよ。

それなのに孫さんは「一桁足らへん」というのです。要するに10万台販売できないかというのです。「一桁足らへん」という言葉を聞いて、もう僕は「この人は何にも分かっていない」と、「そんな簡単なものじゃない」って思いました。

その日の夜「飯を食いに行くぞ」というので、言葉の通り、食事に連れていってもらいました。食事は料亭で、お酒も入ってきて、緊張もほぐれてきて会話できるようになったので、「孫社長、本気であのNTTと戦うおつもりなんですか、どう見てもこちらは竹槍ですよ、竹槍で軍艦に向っていくようなものですよ、それでも本気で戦うおつもりですか」って聞いたら、ニタッっと笑って「近藤君、僕が勝負するんならNTTぐらいの大きさがちょうど良いんだよ、それ以下だったら弱いものイジメだよ」というのです。
正直言ってその時僕は、「この人はめちゃくちゃな事をいうけども格好いいな」と思いましたね。一瞬、「やろうかな」っていう気持ちが芽生えたわけですよ。それでその時に、孫さんが坂本龍馬に見えました(笑)。

それで1時ぐらいにお別れして、僕は会社に帰ったのですが、携帯を見たら孫さんからメールが届いていて、その言葉を今でも全て覚えているのですが、「ありがとう、楽しかったよ。僕は日本のブロードバンドの夜明けの為に命を捧げる覚悟です。一人では何も出来ません。でも近藤君と出会えて本当に良かった、一緒に頑張ってくれ。孫正義」って書いてあったんですよ。

これを見て僕は「この人は自分に酔っ払っているな」と思いましたね(笑)。でも鮮やかだなと、そこまで酔っ払えるのは格好いいなと。しかも世界であれだけ有名な人が「一緒に頑張ってくれ」と言ってくれるって事は、何てピュアな人、純粋な人なんだろう思って、それで僕は、「よし、やってやろうじゃないか」ってがんばる気になったのです。今や、弊社だけで一ヶ月10万台というのをようやくという感じですが達成できています。

僕は孫さんと出会って「自分の心のものさし」の広さが変わりました。孫さんにとっても僕は必要だと思うし、僕にとって孫さんという人との出会いは自分の人生を変えたほど大きなものでした。

すごいの一言。